第59回歴史講座 日時:2019年6月2日(日)13:30~15:30
題目: 司馬遼太郎の「竜馬がゆく」 場所:北区区役所多目的室 講師:平川敏彦
参加者:24名
「竜馬がゆく」「司馬遼太郎」「文春文庫」掲載承認済み
上記「竜馬がゆく」より引用
盗人藤兵衛と道中道ずれ
竜馬は18歳で剣道修行で江戸千葉道場へ向かう。(千葉周作の弟千葉定吉の道場)
道中 盗人藤兵衛と道ずれとなる。東海道を通り富士山を見た竜馬は感激する。
「藤兵衛 初めてこの富士を見たときは何と思った?」「見慣れているので何も感じませんね」
「この富士を見て何も感じない奴はろくなものにならぬ。だからお前は盗人になったんだ」「それじゃ旦那はどう感じなすったんで」「私はこの富士を見て日本一の男になろうと思った」
と・・・・
司馬遼太郎独特の創作ではあるがこれが読み手に感動を与える。「立志編」出だしからこれだ。
読者に自分が富士山を初めて見た時の感動を思い出させる。
さすが司馬遼太郎
発行部数2125万部越えの「竜馬がゆく」だ。
千葉道場のさなこ
千葉道場では道場主 千葉定吉と長男重太郎と長女さなこと会う。
さな子は竜馬に恋をする。
さな子は竜馬に着物を縫う。
さな子は竜馬に迫る。竜馬は小袖をちぎって渡す。さな子はそれが婚約の返事と思い一生大事にする。竜馬は「それ以上迫ってくるな」という意味で渡したのではないだろうか。
さな子の恋は現実だが二人の関係は明らかではない。
黒船来航
竜馬は黒船見物に出かける。
多くの藩が警護に当たっていた。竜馬は長州藩の警護の場所に入り込む。
そこには桂小五郎(後の木戸孝允)がいた。
竜馬の剣が小五郎の剣を折る。小五郎は小刀で切りかかってくるところに龍馬は「待った!」。
竜馬は自分の刀を見つめ「わー」と叫ぶ。小五郎「何が待ったなのだ」竜馬「兄さんから貰った剣が刃こぼれしちゃった~」
小五郎「長州藩桂小五郎だ」 竜馬「私は間者だ」 「こいつは馬鹿か」と男同士を深く結びつけてしまう。
司馬遼太郎が書くと黒船来航も竜馬と桂小五郎の出会いの場となり滑稽な人間関係を作り出している。
佐藩家老の妹「おたつ」が登場する。
おたつは竜馬を好きになる。土佐で正月15日は女正月と言われ娘は街に繰り出し好きなことをする。おたつは竜馬の家を訪ねる。出迎えかしこまる竜馬の父と兄に「竜馬様に会いに来ました」「江戸で黒船を見た時のお話などお聞きしとうございます」と・・・・
竜馬と二人きりになるとおたつは竜馬の耳元でささやく。「今夜格子戸を開けておきます」「お忍びください」
小説の背景に史実はしっかり出ているが表面的には竜馬の破天荒な行動が次から次へと現れる。
史実の上に司馬遼太郎の創作が絡んでいく。それが司馬遼太郎作品です。とかってに解釈しています。